三月二十七日・うさぎや便り

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「うま味」
 


こんにちは。
 

うさぎや  店主の岩佐です。
 

 
ここ数日間は驚くほどの寒さですが
 

桜が開花しています。

 

山科川堤の桜も開きジョキング途中で木を見上げる方の姿が見られます。

 



 

Le konbu, l'algue magique de la cuisine japonaise

昆布は日本料理における魔法の海藻
 



うま味は一番新しく発見された基本味



私達の舌で感じることの出来る、味の基本は五つです。(注①)

 

塩味・甘味・酸味・苦味、そしてうま味。



これらはそれぞれ、舌の上にある小さなツブツブ(味蕾)が感知できる味

 

ということで基本味と名付けられています。



ちなみに、辛味というのは味ではなく刺激によって感知するものなので、基本味には含まれません。



「味蕾」は、フランス語で"papille gustative"と言います。







Figaro紙で昆布のうま味に関する記事

 

近年、日本食ブームという事もあってフランスやスペイン、イタリア



などの日本食産業の成長著しい国々で、昆布が消費され始めています。



今までですと、「出汁は<だしの素>で十分!」

 

が欧州日本料理店の常識だったのですが



最近になってやっと自然のうま味に目を向ける料理人が増えてきています。



スペインのマドリッドに拠点を置いている、アジア食材を専門に輸入している会社



社長の話ではこの、ニ~三年で北海道産の銘柄昆布を注文する客が初めて出てきたとのこと。



京都の料亭ではもちろん



ある程度お金をいただけるような料理を出す日本料理店では、



料理の基礎と言える「だし」に使う昆布の銘柄はとても重要です。



しかし、ヨーロッパの「日本料理」は、そこまで昆布に対する姿勢がシビアでなくてもいいんですね。

 





欧米人は"umami"を感じづらい?



日本人は、歴史的にうま味を上手に料理に使ってきました。(注②)



というと、日本人以外はうま味を使ってこなかったのか



と想像してしまいがちですが、そうではありません。



彼らもうま味を利用してきました。



しかし、日本人程、うま味だけを抽出して料理に生かすことがなかったのです。



例えば、フランス料理はバターをよく使います。



バターは動物性の油脂で、うま味が含まれています。



それなので、フランス料理にはバターを多用します。



他にもうま味を強く感じる食材、例えばキノコやトマトなどを材料の一部として料理に加えていきます。



そういうことなので、フレンチは「足し算の料理」などと言われます。



「うまい!けれども、これはバターの味」



「うまい!けれども、これはトマトの味」



といったように、欧米の人はうま味だけを分離して感知することに慣れていないのです。



一方、日本料理ではうま味のエッセンスである出汁を使って料理の味に深みをつけています。



材料をダイレクトに加えるのではなく



昆布やかつを削り節からうま味のエッセンスを抜き出して、それを他の食材に加えるのです。



ここが大きく違うポイントです。

 





ヨーロッパでは昆布のうま味を求める必要がなかった



味を感知しないのであるので、その味を提供する必要もなかったのですね。



しかし、最近の熱意ある料理人たちの探求心から、



うま味も自然のものを、そして一級のものを使おうという目標が出てきたのです。



figaro紙の記事では、うま味という味の説明と、



その発見の歴史



それに続いて昆布屋さんの話が紹介されています。







「ワインのように、昆布も出来のいい年と悪い年があります」



"A l'instar du vin, le combu connaît des années meilleures que d'autres"



さらに、収穫から貯蔵することによって味に変化が出るのだそうです。



まさに、ワインと同じです。

 





健康効果も期待できる昆布



昆布で得られる健康効果についても触れています。うま味は日本人によって発見された



昆布は全くのカロリーオフ食品でありながら、食物繊維とミネラルが豊富。



ある種のガンについては予防効果がある。



血液循環をよくして老化を予防する。

 

など



これらは、まだまだヨーロッパ圏ではあまり知られていないのですね。

 

現在のフランスガストロノミーでは、

 

日本の昆布食文化を知るポテンシャルが十分にあるという事でしょうか。

 

もしかしたら、

 

そう遠くない将来には、日本の昆布価格が上がっているかもしれません。

 

昆布株を買うなら今です。

 

注①



うま味は日本人によって発見された

中でも「うま味」は約100年前、日本人によって発見されました。

日本の昆布は、北海道や東北など北の海でしか採れません。

古来、北海道で船に積み込まれた昆布は「昆布ロード」

と呼ばれる海路を経て、全国に運ばれました。

うま味は、かつお、昆布(こんぶ)などに多く含まれる、

グルタミン酸、イノシン酸などによって作り出されます。

お母さんの母乳にも成分が入っているといいますね。

 



 

注②



精進料理から広まった昆布

昆布は精進料理の発達に伴って、より広く使われるようになりました。

さらに「点心」のおかず、菓子の材料としても使われるようになっていきます。

昆布だしが文献に現れるのは江戸時代以降ですが、

それ以前から様々な調理法が生み出されていました。

昆布がその特産地とともに文献に現れるのは、

南北朝期に成立した『庭訓往来』です。

この中に宇賀昆布(現在の汐首岬(北海道函館市)周辺で採取された昆布)が登場します。

これが若狭小浜に荷揚げ・加工されると「若狭昆布」、

若狭から京に運ばれ加工されると「京昆布」と称されました。

 



 

「美味しく食べたい。美味しく食べさせたい」

 

そんな思いを、私たち日本人は持ち合わせています。

 

そして毎日の食事を美味しく健康に、自然の恵みに感謝していただきます。

 

「昆布料理」は、そんな気持ちと食文化が生んだ、優しい調味料でもあるのでしょう。

 



 

明日、三月二十八日(月曜日) は定休日

 

翌、二十九日(火曜日)は通常の 営業日 です。

 

今日も、皆さんの happy な一日を願っています(^-^)

 

ゆったり、ほっこり♪

 

巻寿司大使・昆布料理研究家・岩佐 優



 
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